「地図作製」の版間の差分

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===調査板の作成===
===調査板の作成===


ここまでで取得した原図やGPSをもとに現地調査に入ります。現地調査では、「調査板」を使って原図の上にフィルムを貼り、その上から調査結果を記入していきます。
ここまでで取得した原図やGPSをもとに現地調査に入ります。現地調査では、「調査板」を使って原図の上にマイラーフィルム(NishiPROはダイヤマットスーパー片面マットフィルム#200 を使用)を貼り、その上から調査結果を記入していきます。





2022年3月16日 (水) 14:46時点における最新版

本稿では地図作製の全体像と参考資料について記述します。 地図作製は以下の流れで行います。

  1. ソフトウェアの準備: 地図を描くためのソフトウェアを準備します
  2. 原図の収集: すでにある測量情報(国土地理院やGoogleなど)を収集し、「調査原図」とします。
  3. 現地調査: 原図を参考にしながら実際にテレインに入り、特徴物の取得と位置特定を行います。
  4. 作図: 現地調査の結果をソフトウェアを使って描画します。最後にレイアウトを整えて完成です。

以下の参考情報も併せてご確認ください。

IOF MC公式のwiki。ISOMの規定がwiki形式で見れます。今後、記号の使用例や地図調査技術の記事も充実化させていくようです。


ソフトウェア

OCAD

OCADはオリエンテーリング地図作成ソフトウェアのデファクトスタンダードです。 原図調整、作図、コースセッティングまで一通りのことができます。 有料のソフトウェアで、年間ライセンス制になっています。

いくつかのエディションがありますが、OMAPを作るという目的であれば、"Starter"か"Orienteering"を選びます。 StarterはGPS、DEMに関する機能制限や地図面積などに制約がありますが、一応普通にOMAPを作るうえでは十分な機能を持っています。 また、閲覧するだけであればフリーのViewerもあります。

操作方法などは公式のwikiやYouTubeが便利です。

日本でのOCADの販売/サポートは多摩OLのJoergさんがやっています。
問い合わせ先:joergvetter_at_hotmail.com

Open Orienteering Mapper

OpenOrienteeringMapper(OOM)は、オープンソースのOMAP作成ソフトウェアです。無料で利用することができます。 最近は、OOMで作られた地図もよく見かけるようになりました。OCADファイルのインポート/エクスポートも可能です。

測地系・座標系の基礎知識

日本国土上のどのエリアの地図を作っているのか、現実世界とのつながりを表現するため、「座標系」「測地系」の知識が必須。座標系を正しく定義すれば、GPSとの連携や、境界の接合・下絵との整合が完璧に行え、地図作製が楽に正確に行えるようになる。

詳細は座標の設定より。あるいは、

原図の取得

基盤地図情報の取得

国土地理院が全国の地図データを公開する「基盤地図情報」というサイトがあり、そのデータを取得することで質の良い調査原図を手に入れることができる。

1.地理院地図で航空レーザー測量が入手可能かの確認。(地図の種類のところで、トップ > その他 > 地図の更新情報や提供地域 > 基盤地図情報数値標高モデルの更新情報)

2.併せて磁北の確認

3.基盤地図情報のサイトから必要なデータをダウンロード。数値標高モデル5A(航空レーザー)、なければ5B/5C(写真測量)または10B(25000地形図と同等)。基本項目の水涯線、海岸線、建築物の外周線、道路縁、軌道の中心線を取得。

4.自分が欲しい区画の4隅の座標値を取得[1]


5.VectorMapMakerを使ってDXFファイルを取得


6.OCADファイルに取込。「インポート」機能を使用。基盤地図用に記号セットを作ったOCADファイルを用意しておくのが望ましい。OpenOrienteeringやOCADの最新版だと上記4, 5番のステップを踏まず直接インポートが可能とのこと。

このとき、完成品が5m間隔の場合、等高線についてはNishiPROは1.25m間隔で描画することにしている。それによって地形の詳細が良く分かるようになる。

手順の具体的説明については以下も参照:

航空写真の取得

公園の地図はもちろん、森の調査でも、航空写真は大いに役に立ちます。

  • 植生界
  • 林道の位置
  • 森の中のオープン

などが容易に推定できます。Googleが提供しているものが最も広域でかつ更新頻度も高く、使いやすいため、一般的にはそれを利用します。いくつか方法があります。

A. OCADの最新版では、Google航空写真を直接取り込む機能があります(Online Map Service)。

B. このサイトから座標を指定してピンを立てて画面キャプチャを取ることで格子点の目印付きの航空写真が手に入ります。

C. QGISというフリーのGISソフトを使い、航空写真をエクスポートすることができれば、一瞬で下絵に貼り付けることができます。Qiitaの記事


明るさやコントラストを少し調整したほうが森の中は見やすくなる。NishiPROはJTrimを使ってます。

ドローンによる航空レーザ測量

ドローンの航空レーザー測量がかなめ測量さんによってついに実戦投入されました。

基盤地図情報だと、等高線しかもかなり粗くされたものしか手に入りませんでしたが、生データが使えることで、林道や植生の推定やコブや岩・穴の位置まで特定する可能性を秘めています。

道や穴の推定はすでに可能(関ケ原のDEM参照)、今は植生の推定のために西村が開発中。山に一切入らず、原図だけでいきなり試走できるくらいのイノベーションかもしれません。

良心的な価格で対応してくださいますので、直接お問い合わせください。


その他の参考情報

静岡県や兵庫県では、航空レーザ測量成果が別途公開されているようです。


現地調査

GPSの活用

GPS(GNSS)を利用して、各種特徴物の位置を取得しておくのが有用です。 GPSの基本的な仕組み

従来、森の中だと10~20mほど誤差が出ていたのが、2周波受信ができるGPSが発売されたおかげで、5m以下まで抑えることができるようになりました。最新のDroggerGPS

動作原理: 2周波の電波を受信することで、電離層・水蒸気による遅延を推定できる

実際の運用(宮西さんの記事

調査板の作成

ここまでで取得した原図やGPSをもとに現地調査に入ります。現地調査では、「調査板」を使って原図の上にマイラーフィルム(NishiPROはダイヤマットスーパー片面マットフィルム#200 を使用)を貼り、その上から調査結果を記入していきます。


また、タブレットを山に持ち込んで直接書き込む手法も開発されています。GPSの位置を直接参照しながら書き込めるため合理的。

タブレット調査(宮西さんの記事)

その他参考情報

地図調査図をガーミンGPSに搭載

作図

調査板をスキャナでPCに取り込み、OCADから下絵地図に出してトンボで位置合わせしてトレース。

コミュニティ

OMAP制作に関する情報交換を行うためのグループです。分からないことがあればここに投稿すればきっと誰か答えてくれます。
世界のマッパーが集うコミュニティで、地図の制作方法や表現方法について活発な情報交換が行われています。